バイオインフォマティクス

生命情報学に関する基本的な理論や解析ソフトウェアの使用方法について.

アミド結合とペプチド結合

タンパク質はアミノ酸と別のアミノ酸がアミド結合することで構成されるが,このアミノ酸同士のアミド結合のことを特にペプチド結合と呼ぶ.リジンとグリシンによって形成されるアミド結合はペプチド結合の一例となる.一方で,リジンと低分子化合物もアミド結合を形成し得るが,この場合の結合はペプチド結合とは言わない.この場合は,単にアミド結合である.

生体内においてアミノ酸はリボソームによって触媒される縮合反応によりアミド結合を形成する.この縮合反応が繰り返し行われることで長鎖のポリポプチド,さらにはタンパク質が形成される.

タンパク質

タンパク質は多数のアミノ酸が枝分かれすることなく鎖状に繋がった生体高分子化合物であり,生体を構成する主要な物質のひとつである.タンパク質を構成する20種類のアミノ酸は全てL型アミノ酸である.アミノ酸は他のアミノ酸とミド結合 (ペプチド結合) をすることで重合体を形成することができる.諸説あるが,単純にアミド結合の数だけを考えた場合,その数が100を超えるあたりから,アミノ酸重合体はタンパク質と呼ばれるようになる.それより小さいものはペプチド (ポリペプチド) と呼ばれる.これとは別の定義方法にて,すなわち,フォールディングが滞りなく完了し,生体内である一定の機能を発揮できるアミノ酸重合体のことをタンパク質と呼ぶのであれば,最小で10アミノ酸からなるタンパク質も存在する.日本で人工的に合成されたβ-hairpinタンパク質であるchignolinがそれである.Chignolinは以下のような構造をとる.

abi_protein_basic_01.png

タンパク質は生体内においては,遺伝情報の保持および伝達の担い手である核酸から設計され,構築される.生体内分子における機能発現の主役はタンパク質であり,構造解析,機能解析,解析手法,創薬対象など様々な分野の研究対象である.

タンパク質中の重原子

タンパク質を構成する原子は炭素 (C),窒素 (N),酸素 (O),硫黄 (S),水素 (H) の5つの種類からなる.タンパク質周辺の研究分野においては,これらの中でも特に CNOS を重原子と呼称することが多い.分野によって重原子という用語の意味が異なるので注意が必要となる.20種類のアミノ酸の内,全てのアミノ酸が炭素,窒素,酸素および水素原子 (CNOH) を有する.一方で,硫黄原子を含むアミノ酸は20種類のアミノ酸の内,メチオニンとシステインに限られる.これら硫黄原子を含むアミノ酸は含硫アミノ酸 (sulfur-containing amino acid) と呼ばれる.

構成原子アミノ酸の種類
CNOH全アミノ酸
CNOSH含硫アミノ酸 (メチオニン,システイン)

長さの単位

タンパク質の,特にアミノ酸間の距離やタンパク質同士を重ね合わせた際の差異を測定する長さの単位としてÅ (angstrom; オングストローム)が用いられる.国際単位系では正式な単位とされていないが,日本の計量法では,電磁波の波長,膜の厚さ,表面の粗さ,結晶格子にかかわる長さの計量にオングストロームを使用する.1Åは0.1nmであり,これはちょうどプロトンのファンデルワールス半径に相当する.

プロテオーム

生体が有する分子およびその分子情報の全てを併せて,オームと呼ぶ.ゲノムが良い例で,遺伝子を意味する gene に ome を合わせて genome となる.ゲノムと同様,生体内に存在するタンパク質およびその情報の全てを protein と ome を合わせて,proteome,プロテオームと呼ぶ.その他にも様々なオームがある.

オームの種類詳細
ゲノム生体内に存在する遺伝子の総体.
グライコーム生体内に存在する糖の総体.
インタラクトーム生体分子間の相互作用およびその情報の総体.
メタボローム生体内に存在する代謝物質の総体.
プロテオーム生体内に存在するタンパク質の総体.
トランスクリプトーム生体内に存在するmRNAの総体.
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