GPCR

GPCRとはGタンパク質共役受容体 (G protein coupled receptor) のことである。Gタンパク質結合受容体 (G protein linked receptor; GPLR) とも呼ばれる。膜タンパク質であり細胞膜を7回貫通する7回膜貫通型受容体 (7TM receptor) である。細胞外のホルモンや神経伝達物質を含む生理活性ペプチドや核酸等のリガンドが結合することでコンフォーメーションの変化を起こし、シグナルトランスダクション、すなわち細胞外から細胞内へのシグナルの伝達を引き起こす。あるGPCRに対して、それに作用する細胞外のリガンド、すなわち内在性リガンドが明らかにされていない例が多く存在するが、それら内在性リガンドが不明なGPCRのことをオーファン受容体 (orphan receptor) といい、内在性リガンドを明らかにすることを非オーファン化 (deorphanization) という。ヒトにおいては2013年現在、ヒトGPCRの約150種がオーファン受容体とされている。

GPCRは真核生物しか持ち得ないものの、非常に多くの種類が存在する。ヒトゲノムにコードされている数は約800遺伝子に達する。その内の約半数は臭いに関連するものである。また、アミノ酸配列にてクラスAからFまでの6つのクラスに分類される。

現在の疾病治療薬の作用機序の約45%は、GPCRをターゲットとしている。これは、現在までの創薬研究がGPCRを標的に進んできたというわけではなく、疾病治療薬として薬理効果がある薬剤の作用機序を解明したところ、GPCRの標的薬が多かったというだけである。最近では、以上のような事実を逆手にとってGPCRを標的にした創薬研究が数多く行われている。

構造は膜タンパク質の多くに見られるようにall-αタンパク質である。α構造が膜貫通部位を形成し、それらのα構造をループ領域が繋いでいる。受容体にリガンドが結合するとコンフォーメーションの変化が起こり、共役しているGタンパク質の活性化が起こる。GPCRに共役しているGタンパク質とは、ヘテロ三量体タンパク質であり、α、βおよびγの3種類のサブユニットからなるタンパク質である。GPCRのコンフォーメーションの変化の結果、上述のαサブユニットがGTP結合型の活性型となり、βおよびγサブユニットからなるβγ複合体から解離する。解離した活性型αサブユニットはさらに、いくつかの経路によって生物学的な応答を発現させる。まず、アデニル酸シクラーゼ (AC) を活性化させる経路がある。この場合は、活性化されたアデニル酸シクラーゼによってcAMPが生成され、その結果プロテインキナーゼA (PKA; タンパク質のリン酸化酵素) が活性化される。最終的に、活性化されたプロテインキナーゼAが種々のタンパク質をリン酸化することで、そのタンパク質の酵素活性の発現や細胞内での局在変化や他のタンパク質との会合等が惹起される。一方で、活性型αサブユニットはアデニル酸シクラーゼを不活性化する経路もある。またその他に、αサブユニットがホスホリパーゼC (PLC; リン脂質を脂肪酸とその他の親油性物質に加水分解する酵素) を活性化する経路もある。この場合、活性化されたホスホリパーゼCによってホスファチジルイノシトール-4,5二リン酸 (PIP2) が分解され、イノシトール三リン酸 (IP3) とジアシルグリセロール (DAG) が生成される。IP3は細胞内Ca2+貯蔵部位である小胞体からCa2+を放出させる。細胞内におけるCa2+濃度の上昇はカルモジュリン依存性プロテインキナーゼ (CaM kinase) の活性化を惹起する。このCaMキナーゼによって種々のタンパク質がリン酸化され生物学的な応答が発現する。一方でDAGはプロテインキナーゼC (PKC) を活性化する。この場合もPKCによって種々のタンパク質がリン酸化されることで生物学的応答が実現される。しかし、GPCRはこれらのGタンパク質の活性化を介さずともシグナルトランスダクションを惹起することがあることが報告されており、更なる研究が進められている。

GPCR

感覚ロドプシン

このエントリーをはてなブックマークに追加

Site search

ページのトップへ戻る