階層的構造

タンパク質には、一次構造 (primary structure)、二次構造 (secondary structure)、三次構造 (tertiary structure)、四次構造 (quaternary structure) の4つからなる階層的な構造分類が定義されている。

一次構造とは、アミノ酸の配列のことである。タンパク質におけるアミノ酸配列はそのタンパク質に固有のものである。アンフィンゼンのドグマによると、タンパク質の立体構造はアミノ酸配列のみによって一意的に決定される。構造が決まれば機能も決まる。すなわち、アミノ酸配列によってそのタンパク質の構造と機能が決定される。アミノ酸配列はアミノ酸が枝分かれすることなくペプチド結合することによって構成されるものである。アミノ酸残基数に0.11を掛けることで、そのタンパク質の大体の分子量 (kDa) を知ることができる。

EAEEDGDLQCLCVKTTSQVRPRHITSLEVIKAGPH

CPTAQLIATLKNGRKICLDLQAPLYKKIIKKLLES

二次構造とは、タンパク質の構造中に局所的に見られる主鎖の部分的な立体構造のことである。1つのタンパク質分子の中に多くの種類の二次構造が含まれる。二次構造の分類は大きく分けて、ヘリックス (H)、シート (E) およびループ (C) の3種類によってなされる。以下の図のように、これら3つのアルファベットによってタンパク質の二次構造を表現することができる。これらヘリックス構造やシート構造はアミノ酸残基間の水素結合や分子間力によって構成される。実験的には円二色性スペクトル法にて決定される。バイオインフォマティクスにおいては、DSSPによる割り当てが最も一般的である。タンパク質中における二次構造の存在比は"H:E:C = 3:2:5"であることが知られている。

CCCCCCCCCCCCCCCCCCCCHHHEEEEEEECCCCC

CCCCEEEEEECCCCEEECCCCCHHHHHHHHHHCCC

三次構造とは、タンパク質の立体構造のことである。アミノ酸側鎖間の相互作用によって形成される。システイン残基間のジスルフィド結合や疎水性残基間の疎水結合である。特に疎水結合の寄与は大きく、タンパク質の周囲の水分子との反発することによって疎水性コアを形成する。ヘリックスやシートの二次構造は三次構造中ではヘアピン構造等の超二次構造と呼ばれる構造を形成する。実験的には、X線構造解析やNMR、電子顕微鏡によって構造が決定される。計算的には、ホモロジーモデリングや統計力学的原理から予測される。以下は上で示した一次および二次構造を持つタンパク質、PDB ID:1RHPの三次構造である。

3D structure

四次構造とは、複数のタンパク質が非共有結合によって会合した複合体構造のことである。必ずしも全てのタンパク質が四次構造を持つわけではない。四次構造を形成する各単位タンパク質はサブユニットと呼ばれる。2つのサブユニットからなる四次構造はダイマー (dimer) と呼ばれる。3つの場合はトリマー (trimer)、4つの場合はテトラマー (tetramer) である。一般にこれらの総称がオリゴマー (oligomer) である。また、オリゴマーが1種類のサブユニットから構成されている場合、ホモマー (homomer) と呼び、それ以外はヘテロマー (heteromer) と呼ぶ。生体内では四次構造を形成することで機能を発揮するタンパク質が多く存在する。そのようなタンパク質の中で、機能を発揮するときだけ四次構造を形成するものがあるが、それをトランジェント複合体 (transient complex) といい、一方で常に四次構造を形成しているものをパーマネント複合体 (permanent complex) という。また、機能のみならず四次構造をとることで初めて3次構造を形成できるようになるタンパク質が存在するが、Ofran らはそれらをオブリゴマー (obligomer) という用語にて表現した (Ofran and Rost, J. Mol. Biol, 2003)。それ以外はノンオブリゴマー (non-obligomer) である。以下は上のタンパク質の四次構造、ホモテトラマーである。

4D structure
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